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電動機は構成される絶縁材料の耐熱特性によって表-2のようにY、A、E、B、F、H種およびC種の絶縁に分類されます。電動機の絶縁の種類は、電動機の発熱などによる温度上昇と取り扱い液の温度などの使用環境によって決定され、マンホールポンプ施設に使用される水中ポンプにおいては、一般にE種またはF種の絶縁が用いられます。
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表−2 絶縁の種類 |
絶縁の種類 |
許容最高温度 |
Y種 |
90℃ |
A種 |
105℃ |
E種 |
120℃ |
B種 |
130℃ |
F種 |
155℃ |
H種 |
180℃ |
C種 |
180℃超過 |
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一般的に、電動機効率により電動機の温度上昇が異なり、効率が悪いと電動機の温度が上昇するので、絶縁材料を高価な耐熱材料にする必要があります。例えば、電動機の温度上昇を120℃以下に抑える設計を行えばE種(許容最高温度は120℃)の絶縁で対応可能ですが、温度上昇が180℃と高くなるような電動機では絶縁をH種(180℃)に上げなければなりません。温度上昇が大きな電動機は、高価な絶縁材料にしなければならないばかりでなく、温度が10℃上昇すると電動機の寿命が半減されるともいわれており、いかに温度上昇を抑えるかが電動機の寿命、ひいてはポンプの寿命を延ばすこととなります。
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次に、取り扱い液の温度などの使用環境については、温度が80、90℃と非常に高温であれば、温度上昇が少ない電動機でもH種絶縁が必要となりますが、一般に使用されるマンホールポンプ施設では、家庭からの生活排水(風呂や台所の排水)が40℃〜50℃程度のため、電動機の絶縁の種類はE種・F種で十分となります。
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このように、ポンプに搭載する電動機の絶縁の種類(許容最高温度)だけでポンプの良し悪しを判断することはできず、使用環境に応じていかに温度上昇の少ない電動機を選択するかがポイントとなります。
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また、JIS B 8325では、「電動機が水面上に露出するポンプでは、運転中、電動機が大気中に露出し始めてから30分間は支障がなく運転できるものとする」と規定されており、国内ポンプメーカではこのJIS規格に基づき製作されております。
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予旋回槽仕様のマンホールポンプ施設においては、ポンプ停止の際に気中運転となるので電動機の耐熱特性は重要となりますが、実際の運転ではJIS規格に示すような30分間の気中運転になることはないので、電動機の絶縁の種類はE種、F種で十分といえます。 |