決議

(平成16年5月13日 通常総会)

一般社団法人 日本産業機械工業会



 

産業機械工業の業況は、民間設備投資の活発化とアジア、中東を中心とした輸出の伸びから明るさが増してきている。当工業会において取り纏めた平成15年度産業機械の受注は、内外需合計では、4兆8,680億円、対前年度比6.4%増となった。平成16年度見通しについては、海外需要が引き続き堅調であり、設備投資意欲も持続すると見て、前年度比2.2%増を見込んでいる。しかしながら、公共投資の縮減や個人消費に対する不透明感や収益を圧迫する原材料の高騰などがあり、また、国内外のテロなど不測の事態による経済への影響など懸念される面もあるので、楽観できる状況にはない。
 回復の動きに弾みをつけ、本格的な景気回復を実現させるためには、公共投資は経済波及効果の大きい事業に重点を絞って実施するとともに、構造改革を推し進め、産業競争力の一層の強化が図られなければならない。特に、産官学連携して国力の基盤である製造業を強化し、更には、新しい分野に進出し、事業の創出に挑戦する起業精神を醸成することが重要である。製造業は収益力を強化するため、研究開発を強化し、品質、価格、サービス等あらゆる面で顧客満足度(CS)の向上を図っていくことが極めて重要であり、同時に、事故の未然防止や環境保全への配慮等の社会的責任を果たしていくためのシステムを構築することが必要であると考える。

 

よって、当工業会は政策当局に対し、わが国産業の再生・強化に向け以下の施策を講じて頂くよう要望する。また、産業機械工業の発展のため業界としてなすべき事項を申し述べ、実施・推進していくことを決意する。

 

T.政策当局への要望

1.景気対策

(1) 今後一層の成長にはインフラの整備が不可欠であり、中核となる公共投資は、都市再生のための諸設備の整備や、来るべき循環型社会に向けたシステムの構築及び環境設備の充実等経済波及効果の大きい事業に重点を置くべきである。
(2) 景気の本格的回復実現には、構造改革の一層の推進と共に好調な輸出の維持と消費の拡大、設備投資増加基調の持続等による好循環の形成が必要である。その為、為替相場の適正水準維持のための措置を引き続き堅持し、日銀による金融緩和策を継続すべきである。また、企業の設備投資意欲を高めるため税額控除、特別償却、法廷耐用年数の見直し等税制面でのインセンティブを拡充すべきである。
(3) 景気の自律回復に向け個人消費や住宅投資の拡大を図るため、税制の抜本的見直しと公的年金等の社会保障制度の改革を強力に推進し、国民の将来不安を払拭すべきである。
(4) エネルギーの安定的供給に不可欠な電力インフラへの投資は、経済的波及効果も大きいと思われるので、継続的な実施を促すための施策を講じるべきである。
(5) 環境・エネルギー、IT、バイオ、ナノテクノロジー・材料等の21世紀における有望分野の研究開発に対しては、事業化・市場化を促進するため、補助金及び税制面からの支援策を拡大、強化すべきである。

 

2.製造業の競争力強化対策

(1) 最近の原材料の需給逼迫とそれに伴う急激な高騰は、製造業において安定した原材料の手当を困難にさせているので、原材料供給の円滑化に向け適切な政策運営を行うべきである。
(2) 企業の新事業への進出等に際して、人材のミスマッチ解消のための人の流動化が必要である。そのためセーフティーネットの充実や社会保険制度の見直しとともに、労働条件に関する一律的制限等の規制を緩和・撤廃すべきである。
(3) 「モノづくり」産業を支える技能伝承に関わる教育訓練に対しては、補助金制度の創設や技術者、管理者確保のため資格制度の設置など各種支援策を講じるべきである。
(4) 民間では十分とはいかない分野の研究開発或いは分野や行政が多岐に亘る場合の研究開発について、補助金の拡充、金融支援措置など一層の支援を行うべきである(例えば、新交通システム、静脈物流、バイオマス、土壌、河川、海洋汚染除去及び廃棄物処理技術等)。
(5) 企業の新事業創出に生かせる国立大学や公的研究機関の研究成果に関する情報の公開及び産官学の研究交流の活発化に役立つ支援策を一層強化すべきである。

 

3.企業の海外活動・ビジネス促進対策

(1) わが国のODA等経済支援のタイド化を図るべきである。また、アンタイド資金協力や国際機関からの資金供与によるインフラ整備プロジェクトについて、政府のトップセールスを行うことが必要である。
(2) 国際標準化については、欧州に主導権を握られているが、今後は、わが国が国際機構において新規提案を積極的に行い、また、わが国に不利な標準化・規格化が行われないよう適格な活動を積極的に行っていく必要がある。政府としても情報を早期に入手し、業界への関係情報提供、意見集約を行うなど、国際的規格の制定に関して戦略的に関与すべきである。
(3) 海外における模倣品問題等知的財産権の侵害に関し、当該国政府に対し知的財産権の保護、侵害を防止するルール等の整備・徹底を引き続き要請し、公正な競争を促すべきである。
(4) 米国、中国等のアンチダンピング規制の運用ルールが不明確であり、不利益を被ることのないよう、ルールの明確化を当該国に強く要求すべきである。

 

4.環境保全対策

(1) 環境負荷軽減に寄与する環境技術、環境装置、産業機器の導入を支援する制度やエネルギー分野における「RPS法」のように導入の義務化など環境保全に資する施策を総合的に検討すべきである。
(2) 省エネルギー化や新エネルギー及び廃棄物再生品の利用を阻害する規制は撤廃或いは緩和すべきであり、更に、これらの利用・普及を促進するため、種々の支援措置を講じるべきである。(例:溶融スラグである“エコスラグ”)
(3) 事業所における事故の未然防止、万一事故発生した場合の迅速且つ適切な対応を可能にするマニュアルの作成とシステム化に必要な企業の各種投資には税制上の優遇措置等の支援策を講じるべきである。。
(4) 環境保全技術を発展途上国に移転・普及させるための手段として、PR活動や展示会等は重要である。政府機関等による支援を一層充実させるべきである。

U.当業界の為すべき事項(決意)

 

1.産業競争力強化に資する業界体勢の整備と企業の活性化

(1) 廃棄物の再生利用や新エネルギーの利用普及等、環境負荷の軽減に寄与する新規成長分野の開拓に努める。特に、エコスラグの普及を促進するための標準化やネットワークの構築を図る。
(2) 技術革新による新製造方法、新製造機械の開発を促進し、需要者のコスト競争力強化に務める。
(3) 各種産業機械の標準化・安全性の向上・省エネルギー化を推進する。
(4) 産業振興に寄与する対策を検討し、取り纏めた上で政策当局に提言していく。

 

2.国際協力・国際交流の推進

(1) 海外駐在員等を通じて、海外市場に関しての的確な情報把握に努める。
(2) アジア諸国における環境保全に貢献するため、現地メーカや団体等と環境保全に関する技術交流、普及・啓蒙活動を推進する。
(3) 海外同業種団体等との情報技術の交換を活発化していく。

 

3.環境問題への対応

(1) 「産業機械工業の環境自主行動計画」「有害大気汚染物質の自主管理計画」に掲げる目標・対応策を着実に実行する。また、「産業機械工業の環境グランドデザイン」を実行に移すためのアクションプランの策定を検討する。
(2) 地球温暖化問題解決、廃棄物の排出削減、再利用、再資源化のための革新的技術の開発に努め、そのPR・普及のための各種活動を推進する。
(3) 環境装置に関する更なる新技術及び装置の開発・普及を促進するため、国内外での展示会、フォーラム等各種事業に参画する。
(4) LCA手法による産業機械の環境負荷低減化に関する調査研究を進める。

 

4.情報通信技術の更なる活用促進

(1) 経済対策、税務問題、労務問題、法務問題等を検討し、業界の発展に資する意見を取り纏める。
(2) 情報通信技術・製品・システムを積極的に導入するとともに、資材調達、生産、販売及び物流等の改善の推進にも活用する。
(3) 情報発信手段として当工業会ホームページの充実を図り、業界活動を広く紹介する。

以 上
お問合せ先
本部(東京)企画調査部
TEL03-3434-6823
FAX03-3434-4767
mailto:prd@jsim.or.jp

このウインドウを閉じる