決議

(平成15年5月22日 通常総会)

一般社団法人 日本産業機械工業会



 

産業機械工業の業況は、外需がアジア、中東地域の大型案件を中心に拡大してきたが、内需の不振を補うまでには至らず、厳しい状況にある。当工業会において取り纏めた平成14年度産業機械の受注は、内外需合計では4兆5745億円、対前年度比3.0%減となった。平成15年度については、前年同期比4.9%増を見通しているが、株価下落による企業損益の悪化、設備投資の手控え、新型肺炎SARSによる世界経済への影響など楽観できる状態にはない。

 

 わが国経済の成長力を取り戻すためには産業競争力の強化が不可欠であり、先ず、企業の活性化が必要である。特に、国力の基盤である「モノづくり」を担う製造業の強化を図ることが重要である。また、経済の持続的発展を可能とさせるためには、環境保全が不可欠であり、企業は環境に十分配慮していかなければならない。

 

よって、当工業会は政策当局に対し、わが国産業の再生に向け以下の施策を講じて頂くよう要望する。また、後段(U)において、産業機械工業の発展のため業界として為すべき事項を申し述べ、実施・推進していくことを決意する。

 

T.政策当局への要望

1.景気対策

(1) 公共投資は景気を下支えするための重要な施策であるが、財政難にある現状を考え、新産業創出、都市機能の高度化や環境分野の事業など経済効果が大きく、また、活性化に資するインフラの整備に重点を置くべきである。
(2) 設備投資の拡大が求められているが、企業の投資意欲を高めるため設備投資に対する税額控除、特別償却、法定耐用年数の見直し等税制面でのインセンティブを拡充すべきである。
(3) プラントを含む産業機械の輸出は、円相場に大きく左右される。国際競争力を高め輸出を確保するため、デフレ解消にも有効である円安誘導を含め為替相場の安定が必要である。特に、中国元の対円相場は長期に亘り低水準にあり、元切り上げ等是正を働きかけるべきである。
(4) 景気の阻害要因となる株価の下落、資金調達難に対処するため証券取引の活性化を含め、金融面での総合的且つきめの細かい対策を講じるべきである(例えば、株価急落を防止するためのシステム構築、中規模企業の資金調達支援制度の創設、CPの少額での発行コストの引き下げ指導)。

 

2.製造業の競争力強化対策

(1) 人材の流動化を促進するため、雇用保険制度やハローワークのインターネットによる人材情報提供などセーフティーネットの充実を図る一方、外国人就労を含め雇用の自由度拡大など規制を一層緩和・撤廃すべきである。
(2) 「モノづくり」技能、技術及び生産管理分野で培われたノウハウの伝承は極めて重要である。有能な人材の海外流出阻止、生産現場での有能な技術者、管理者確保のため社会的に認められる資格制度の設置など人材育成に資する支援策を講じるべきである。
(3) 民間では十分とはいかない分野の研究開発或いは分野や行政が多岐に亘る場合の研究開発について、補助金の拡充、金融支援措置など一層の支援を行うべきである(例えば、新交通システム、高速道路・交通完成システム、コンテナターミナル、静脈物流、バイオマス、土壌、河川、海洋汚染除去及び廃棄物処理技術)。
(4) 企業の研究開発力強化するため、大学を強化するとともに、産学連携強化による新産業の創出と技術者育成を図るべきである。

 

3.企業の海外活動・ビジネス促進対策

(1) わが国のODA等経済支援のタイド化を図るべきである。また、アンタイド資金協力や国際機関からの資金供与によるインフラ整備プロジェクトについて、政府のトップセールスを行うことが必要である。更に、今後のイラク復興には、資金協力に加え、優れた技術力を有するわが国企業の参加が可能となるよう努力すべきである。
(2) 国際標準等の国際的規格の制定に関して、政府としても戦略的に関与すべきである。
(3) 海外における模倣品問題等知的財産権の侵害に関し、当該国政府に対し知的財産権の保護、侵害を防止するルール等の整備・徹底を引き続き要請し、公正な競争を促すべきである。
(4) 米国等のアンチダンピング規制の運用ルールが不明確であり、不利益を被ることのないよう、ルールの明確化を当該国に強く要求すべきである。

 

4.環境保全対策

(1) 分散型エネルギーに対する規制や廃棄物の再生利用を阻害する規制について、撤廃或いは緩和すべきである。
(2) 環境負荷軽減に寄与する環境技術、環境装置、産業機器の導入を支援する制度やエネルギー分野における「RPS法」のように導入の義務化など環境保全に資する施策を総合的に検討すべきである。
(3) 民生分野での二酸化炭素の排出削減に効果があり、また、需要の創出・拡大に繋がる家庭用機器の設置には、補助金だけでなく税制面の優遇措置により導入を促進すべきである(例えば、ソーラー発電設備や燃料電池発電装置等)。
(4) 環境保全技術を発展途上国に移転・普及させるための手段として、PR活動や展示会等は重要である。政府機関等による支援を一層充実させるべきである。

U.当業界の為すべき事項(決意)

 

1.産業競争力強化に資する業界体勢の整備と企業の活性化

(1) エコスラグや新エネルギーの利用普及等、環境負荷の軽減に寄与する新規成長分野の開拓に努める。
(2) 技術革新による新製造方法、新製造機械の開発を促進し、需要者のコスト競争力強化に務める。
(3) 各種産業機械の標準化・安全性の向上・省エネルギー化を推進する。
(4) 産業振興に寄与する対策を検討し、取り纏めた上で政策当局に提言していく。

 

2.国際協力・国際交流の推進

(1) 経済産業省主催の海外貿易会議(産業機械)の幹事団体として種々協力する。
(2) 海外駐在員等を通じて、海外市場に関しての的確な情報把握に努める。
(3) アジア諸国における環境保全に貢献するため、現地メーカや団体等と環境保全に関する技術交流、普及・啓蒙活動を推進する。
(4) 海外同業種団体等との情報技術の交換を活発化していく。

 

3.環境問題への対応

(1) 「産業機械工業の環境自主行動計画」「有害大気汚染物質の自主管理計画」に掲げる目標・対応策を着実に実行する。
(2) 地球温暖化問題解決のための革新的技術の開発に努め、その啓蒙・普及を推進する。
(3) 環境装置に関する更なる新技術及び装置の開発・普及を促進する。
(4) LCA手法による産業機械の環境負荷低減化に関する調査研究を進める。

 

4.情報通信技術の更なる活用促進

(1) 各種法務問題を検討し、業界の発展に資する意見を取り纏める。
(2) 情報通信技術を製品・システムに積極的に導入するとともに、資材調達、生産、販売、及び物流等の改善の推進にも活用する。
(3) 情報発信手段として工業会ホームページの充実を図り、業界活動を広く紹介する。

以 上
お問合せ先
本部(東京)企画調査部
TEL03-3434-6823
FAX03-3434-4767
mailto:prd@jsim.or.jp

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