決議

(平成14年5月23日 通常総会)

一般社団法人 日本産業機械工業会



わが国経済は、個人消費回復の遅れに加え、設備投資や公共投資の縮減から、依然厳しい状況が続いている。政府見通しで本年度実質成長率ゼロとしているが、この平成14年度はわが国経済が再び成長軌道に乗れるかどうかの大事な年になるものと思われる。

 

 当一般社団法人 日本産業機械工業会の受注状況は厳しい状況が続いており、平成13年度には、海外でのプラントや国内の大型案件の受注は増えたものの、ほとんどの機種で前年度を下回り、対前年度比10.4%の減少、4兆7,164億円となった。平成14年度については、外需の拡大や年度後半頃から企業収益の回復を背景とした民間設備投資の増加を見込んで、内外需合計で対前年度比1.6%増と見通している。

 

そうした状況の中で、わが国において企業を活性化させ、自律的な景気回復を実現させることは喫緊の課題であると思われる。特に、産業基盤を担う製造業を持続的に発展させ、産業競争力の強化に繋がる対策が必要である。よって、政策当局に対し以下の支援措置を講ずることを要望する。

 

1.景気対策

(1)製造業、特にプラントを含む産業機械産業にとって、円相場の水準は、輸出競争力のみならず企業の収益・雇用・設備投資等に大きく影響する要因である。輸出を安定的に確保するため、円相場の安定に向けた努力の継続を強く要望する。

(2)金融機関の貸し渋りが解消されず、今後、中小企業を中心に資金調達が一層困難になることが予想される。従って、政府系金融機関を中心として融資制度の拡大や信用保証制度の充実等の対応策を強化すべきである。

(3)公共投資は、財政難から拡大は困難と思われるが、景気を下支えする重要な施策である。従って、公共事業は、新産業創出や情報技術など将来の経済活性化に資するインフラの整備に重点を置き、また、民間資金も活用して、総合的な計画の下、国・地方自治体及び民間企業がそれぞれ役割を分担して、経済効果が大きいと思われる首都圏などの都市再生事業や環境分野の事業に集中して行うべきである。

(4)設備投資を活性化させるため、設備投資促進税制の拡充など支援を強化すべきである。

 

2.産業発展に向けた抜本的施策

(1)わが国経済の基盤は「モノづくり」を担う製造業であり、その競争力強化は極めて重要である。企業の研究更には官民協力しての研究開発がこれからの産業の発展の帰趨を決めることとなる。従って、試験研究促進税制の拡充や研究開発に対する思い切った助成制度の拡充を図るべきである。また、過剰設備の廃却や高効率の設備への更新を促進させるため時限的に加速度償却を認め、更に機械設備等の法定耐用年数を抜本的に見直をすべきである。

(2)新産業創出・成長分野育成へ向け、規制撤廃・緩和や税制整備など構造改革を一段と進めるべきである。また、企業再編、グループ経営を容易にするための関係法制の整備、連結納税制度の採用を妨げる連結付加税の撤廃、認可手続等の迅速化等制度の整備を図るべきである。

(3)専門的技能職の高年齢化に伴い高度技能の維持・伝承が急務となっている。技能伝承に取り組む企業への助成金や公的機関による人材ネットワークの創設等、政策的支援措置を強く要望する。併せて、産官学が連携して技術力蓄積・向上に取り組めるよう、TLO(技術移転機関)への支援強化等環境整備に努めるべきである。

(4)就労形態の多様化や人材の流動化、就業年齢構成の変化が年々進行しており、変化に対応し得る社会保障制度への転換が必要である。このため、安定的に利用できる社会保障システムを早期に構築すべきである。また、製造に関わる労働者派遣の要件を早急に緩和すべきである。

(5)企業の国際化に適合する会計基準、監査基準など会計制度を整備すべきである。

 

3.環境と調和した経済社会実現に向けての施策

(1)地球温暖化防止に向け、新エネルギーや代替燃料、環境負荷の少ない設備・機器・技術等の普及をより一層図るべきである。研究開発事業への支援策拡充と、利用者への税制軽減措置等の拡充を強く希望する。

(2)循環型経済社会に向け法制面での整備が進んでいるが、再生品・再資源化物が浸透するためには安定的な供給が必要である。助成金や減税措置等を強化してインセンティブを与えるとともに、RDFやエコスラグ等の越境制限など流通阻害条件となる規制を早期に撤廃すべきである。

(3)わが国の優れた環境保全技術を発展途上国に移転・普及させるための手段として、PR活動や展示会開催等は重要である。このため、政府機関等による支援を一層充実させるべきである。併せて、環境保全技術移転を促進させるため、税制等での優遇措置を拡充すべきである。

 

4.企業の海外活動円滑化に向けた環境整備

(1)アジア諸国との政策協議の強化を通じ、共通化すべき各種経済基盤整備に向けた対応を促すとともに、アジア地域でのFTA(自由貿易協定)実現に向けた制度整備を進めるべきである。

(2)二国間タイド等の調達条件付円借款や環境保全に重点配分したODA等、受入先国ばかりでなくわが国産業の活性化にも貢献する海外技術協力・開発援助制度の拡充を強く希望する。併せて、こうした貢献が国際社会から評価されるよう「顔の見える経済協力」実現に向けた活動を一層進めていくべきである。

(3)外国税額控除制度の拡大を図り、進出先国における租税公課との整合性が保たれるよう、また、移転価格税制の整備により二重課税防止の徹底を図ることを強く希望する。また、社会保険料等が国内との二重負担となる場合につき、二国間相互免除制度等を推進してその解消を図るべきである。

(4)わが国製品に対する安易なダンピング提訴等不当な貿易制限を排除し、自由な貿易活動が行われるよう、公正・透明なルールに立脚した国際経済システムの確立に努めるべきである。

(5)海外における模造品防止など知的財産権の保護を強化するための対策を早急に講ずるべきである。

 

 以上諸事項を政策当局に対し要望する。同時に、当工業会会員も産業機械産業の発展ひいてはわが国経済の持続的発展のため、次の事項を実施・推進していくことを決意する。

 

1.産業構造変革に対応する業界体制の整備と企業活力の維持向上

(1)ものづくりの強化を具体化するための対策を検討する。

(2)エコスラグや新エネルギーの利用普及等、新規成長分野の開拓に努める。

(3)技術革新による新製造方法、新製造機械の開発を促進し、コスト競争力の強化を図る。

(4)各種産業機械の標準化・安全化・省エネルギー化を推進する。

 

2.国際協力と国際交流の推進

(1)海外駐在員等を通じて、海外市場に関しての的確な情報把握に努める。

(2)アジア諸国における環境保全に貢献するため、現地メーカや団体等と環境保全技術及び環境装置に関する技術交流、普及・啓蒙活動を推進する。

(3)産業機械に関わる海外での各種展示会等へ参加する。

(4)海外同業種団体等との情報技術の交換を活発化していく。

 

3.環境問題への対応

(1)「産業機械工業の環境自主行動計画」「有害大気汚染物質の自主管理計画」に掲げる目標・対応策を着実に実行する。

(2)地球温暖化問題解決のための革新的技術の開発とその普及を推進する。

(3)環境装置に関する更なる新技術及び装置の開発・普及を促進する。

(4)LCA手法による産業機械の環境負荷低減化に関する調査研究を進める。

 

4.その他業界としての活動

(1)模造品対策等知的財産権問題に関する研究及び各種法務問題の検討

(2)情報通信技術を製品・システムに積極的に導入するとともに、資材調達、生産、販売、物流改善の推進にも活用する。

(3)情報発信手段として工業会ホームページの充実を図り、業界活動を広く紹介する。

 

 以上のとおり、全会員一致協力して新しい内外の情勢に対応し、産業機械産業の発展に努めることを決議する。 

以 上
お問合せ先
本部(東京)企画調査部
TEL03-3434-6823
FAX03-3434-4767
mailto:prd@jsim.or.jp

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