決議

(平成13年5月24日 通常総会)

一般社団法人 日本産業機械工業会



 

平成12年度のわが国経済は、企業業績の改善に伴い民間設備投資が増加し、輸出が堅調に伸びたが、一方で、国内個人消費の低迷から緩やかな回復にとどまった。平成13年度の経済は、政府見通しでは実質成長率1.7%プラスとしているが、伸び悩む個人消費と設備投資の息切れが懸念され、先行き不透明感が強まっている。

 

 当一般社団法人 日本産業機械工業会の平成12年度受注は、国内需要の増加や外需の堅調な推移により4年振りに前年度実績を上回り、5兆2651億円、前年度比15.3%増となった。平成13年度は、国内ではIT関連を中心とする設備投資が息切れし、外需も米国経済の減速と共にその波及する影響が懸念されることから、伸びは鈍化するとみて、対前年度比2.1%増と見通している。

 

そうした状況の中で、政府は、景気を自律的回復に向かわせる所要の対策を早急に講ずるとともに、ものづくりという産業の基盤を担う製造業を今後一層活性化し発展させる必要があると考える。よって、政策当局に対し以下の通り要望する。

 

1.景気回復へ向けた当面の経済対策

(1)製造業、特にプラントを含む産業機械産業にとって、円相場の水準は、輸出競争力ならびに企業の収益・雇用・設備投資等に大きく影響する要因である。競争力を維持し輸出を安定的に確保するためにも、円相場の安値安定に向けた努力の継続を強く要望する。

(2)金融業界のリストラが今後加速することで、中小企業を中心に資金調達が一層困難になることが予想される。政府系金融機関による運転資金の融資制度の拡充等、対応策の充実を図るべきである。

(3)公共投資は、景気を下支えする重要な施策である。新産業創出や環境保全など、将来の経済活性化・インフラ整備に資する公共投資に重点を置き、引き続き積極的に行うべきである。また、設備投資の拡大を持続させるため消費拡大が不可欠であり、貯蓄を消費に振り向けるべき諸制度を早急に整備すべきである。

 

2.これからの産業発展に向けた施策

(1)新産業創出・成長分野育成へ向けた企業活動を促進するため、構造改革後の経済発展につき中長期的展望を示しつつ、規制緩和を遅滞なく断行し構造改革を更に進めるべきである。また、企業の事業再構築を支援するため、商法を含む企業再編関係法制の整備、認可手続等の迅速化、税制の拡充等、一層の制度整備に取り組むべきである。

(2)わが国経済の基盤はものづくりを担う製造業にあり、生産設備充実は競争力維持に不可欠の条件である。設備投資促進税制の拡充等、企業活動活性化につながる税制措置実現を強く希望する。

(3)専門的技能職の高年齢化に伴い高度技能の維持・伝承が急務となっている。技能伝承に取り組む企業への助成金や公的機関による人材ネットワークの創設等、政策的支援措置を強く要望する。併せて、産官学が連携して技術力蓄積・向上に取り組めるよう、TLO(技術移転機関)への支援等を通じ環境整備に努めるべきである。

(4)就労形態の多様化や人材の流動化、就業年齢構成の変化は年々進行しており、変化に対応し得る社会保障制度への転換が必要である。確定拠出型年金制度の導入等を通じ、安定的に利用できる社会保障システム構築を早期に進めるべきである。

(5)補助金制度については、複数省庁が関連する案件でも依然個別に審査・交付が行われ非効率的である。省庁横断的な総合的補助システムの導入等、運営合理化を図るべきである。

 

3.環境と調和した経済社会実現に向けての施策

(1)地球温暖化防止に向け、新エネルギーや代替燃料、環境負荷の少ない設備・機器・技術等の普及をより一層図るべきである。研究開発事業への支援策拡充と、利用者への税制軽減措置等の拡充を強く希望する。

(2)循環型経済社会に向け法制面での整備が進んでいるが、再生品・再資源化物が浸透するためには安定的な供給が必要である。助成金や減税措置等を強化してインセンティブを与えるとともに、RDFやエコスラグ等の越境制限など流通阻害条件となる規制を早期に撤廃すべきである。

(3)わが国の優れた環境保全技術を発展途上国に移転・普及させるためのPR活動や展示会開催等は重要な手段である。政府機関等による支援を一層充実させるべきである。併せて、環境保全技術移転を促進させるため、税制等での優遇措置を拡充すべきである。

 

4.企業の海外活動円滑化に向けた環境整備

(1)アジア諸国との政策協議の強化を通じ、共通化すべき各種経済基盤整備に向けた対応を促すとともに、アジア地域での自由貿易協定実現に向けた制度整備を進めるべきである。

(2)二国間タイド等の調達条件付円借款や環境保全に重点配分したODA等、受入先国ばかりでなくわが国産業の活性化にも貢献する海外技術協力・開発援助制度の拡充を強く希望する。併せて、こうした貢献が国際社会から評価されるよう「顔の見える経済協力」実現に向けた活動を一層進めていただきたい。

(3)外国税額控除制度の拡大を図り、進出先国における租税公課との整合性が保たれるよう強く希望する。また、社会保険料等が国内との二重負担となる場合につき、二国間相互免除制度等を推進してその解消を図るべきである。

(4)わが国製品に対する安易なダンピング提訴等不当な貿易制限を排除し、自由な貿易活動が行われるよう、公正・透明なルールに立脚した国際経済システムの確立に努めるべきである。

 

 以上諸事項を政策当局に対し要望するとともに、当工業会会員も産業機械産業の発展ひいてはわが国経済の持続的発展のため、次のとおり決意を表明する。

 

1.産業構造変革に対応する業界体制の整備と企業活力の維持向上

(1)ものづくりの強化を具体化するための対策を検討する。

(2)エコスラグや新エネルギーの利用普及等、新規成長分野の開拓に努める。

(3)技術革新による新製造方法、新製造機械の開発を促進し、コスト競争力の強化を図る。

(4)各種産業機械の標準化・安全化・省エネルギー化を推進する。

 

 

2.国際協力と国際交流の推進

(1)海外駐在員等を通じて、海外市場に関しての的確な情報把握に努める。

(2)アジア諸国における環境保全に貢献するため、現地メーカや団体等と環境保全に関する技術交流、普及・啓蒙活動を推進する。

(3)海外同業種団体等との技術情報の交換を活発化していく。

 

3.環境問題への対応

(1)地球温暖化問題解決のための革新的技術の開発とその普及を推進する。

(2)「産業機械工業の環境自主行動計画」「有害大気汚染物質の自主管理計画」に掲げる目標・対応策を着実に実行する。

(3)環境装置に関する更なる新技術及び装置の開発・普及を促進する。

(4)LCA手法による産業機械の環境負荷低減化に関する調査研究を進める。

 

4.情報通信技術の更なる活用促進

(1)情報通信技術を製品・システムに積極的に導入するとともに、資材調達、生産、販売、物流改善の推進にも活用する。

(2)情報発信手段として工業会ホームページの充実を図り、業界活動を広く紹介する。

 

 以上のとおり、全会員一致協力して新しい内外の情勢に対応し、産業機械産業の発展に努めることを決議する。

以 上
お問合せ先
本部(東京)企画調査部
TEL03-3434-6823
FAX03-3434-4767
mailto:prd@jsim.or.jp

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