産業活性化と安全な社会の構築に向けて

(平成15年11月19日 関西大会)

一般社団法人 日本産業機械工業会


 イラク戦争やSARS問題終息後アジア経済は回復基調に戻り、米国経済も比較的堅調に推移したことから、わが国の輸出が拡大し、設備投資の増加もあって、わが国経済の先行きに明るさが出て来た。しかしながら、個人消費の回復が見られない現在、自律回復を実現し、引き続き設備投資が増加するとの確信が持てない状況にもある。

当工業会の受注は、輸出が牽引となり、上半期については昨年同期を大きく上回った。下半期以降も、円高や米国景気やアジア経済の動向など懸念材料はあるが、輸出は拡大基調にあり、また、業績改善を背景として設備投資意欲も増大してきており、堅調に推移するものと期待している。

産業機械工業は、優れた技術の集積と新しいニーズにも応え得る開発力によって、わが国産業の発展に寄与している。また、工業会会員企業は、製品における安全性を追求し、また、廃棄物の資源化等循環型社会の構築に不可欠な技術と機器・装置を供給し、「安全な社会」そして「環境にやさしい社会」の実現に努力している。

企業は、法規制の遵守、環境への配慮、更には、顧客、投資家、資金調達先、仕入先、従業員等に対する配慮など広範囲の社会的責任を負わなければならない。当業界は、関係官庁や大学及び公的研究所等の研究機関の支援、協力を得て、種々の社会的要求に応え、わが国の経済発展に引き続き貢献していきたいと考える。

こうした認識のもと、当工業会は政策当局に対し、以下の施策を提言する。

1.国際競争力強化に資する構造改革の推進

構造改革を通じ、産業競争力を強化し、わが国経済の活性化のため、必要且つ適切な施策を講じるべきである。

   @ 将来不安を取り除き過大な貯蓄を個人消費に向かわせるため、健全で確固たる年金制度を示すこと。
   A 起業意欲を促すため、構造改革特別区の一層の拡充、地方分権の実現など各種規制を撤廃・緩和すること。
   B 人材派遣等に関する規制の緩和、雇用セーフティネットの充実、ホワイトカラーの労働時間管理についての適用除外の早期法制化など、労働・雇用制度を整備すること。更に、創造的でグローバル化に対応できる技術者及び若い技能者の育成と技能伝承を助成すること。


2.企業の活性化による経済の自律的成長の実現

今年度より研究開発投資減税が実現したが、研究開発支援のための施策を一層強化充実して、企業を活性化させ、新事業・新産業を産み出し、わが国の中長期的経済発展の基盤を構築すべきである。

@ 企業単独の開発費負担には限界がある。先端技術に対するNEDOなど公的研究機関の補助金制度を拡充すること。また新産業・新事業の創出促進のため、研究機関・大学と企業との連携制度を強化すること。
A IT、環境(都市再生や防災を含む)、バイオ事業など重点を絞って、投資促進のための施策を強化すること。
B 生産性を高める設備投資を促し、また、老朽化している設備を更新させるため、減価償却制度の見直しなど税制面での支援を強化すること。


3.海外事業活動の推進・支援

輸出の促進及び海外事業の一層の積極的展開を図るため、関係当局は適切且つ有効な施策を講じるべきである。

@ 為替相場については、対USドル、対ユーロで円安誘導し、その後適正水準を保つよう努めること。
A 諸外国に比べ自由貿易協定(FTA)の締結が遅れ、わが国の工業品輸出に不利が生じているので、早急に対処すること。
B 途上国での模倣が大きな問題となっている。知的所有権保護に関する法律の整備、その適切な実施を徹底するよう政府間の政策協議等において要求すること。
C 途上国においては、突然の法規制の変更、税制の変更により、海外事業を展開するわが国の企業が不利益を被っている。外国企業の締め出しなど不当な措置について、当該国に対し是正要求等の対応を強力に推進すること(例えば、中国の建設業法の改正によるプラント建設などの不利益)。


4.安全管理及び環境保全に資する各種対策の強化

 製造現場における、火災、爆発など大きな事故が多発している。企業として、安全の確立に完璧を期すべきであるが、同時に、行政側においても、企業の安全への取り組みに対し適切な支援をすべきである。また、地球温暖化、廃棄物最終処分場の逼迫等の環境問題への対応が迫られている。企業の環境保全への取り組みに対する一層の支援措置を講じるべきである。
@ 当面、企業が安全基準遵守の徹底と安全確保のための体制強化に取り組んでいるが、将来的には安全に関する規制強化も考慮に入れること。また、安全の強化及び環境負荷軽減に寄与する各種投資には税制上優遇措置等の支援策を講じること。
A 京都議定書発効に向けて国内体制の整備をはかること。また、京都メカニズムの早期実現に向け国際交渉を継続するとともに、国内制度を整備すること。但し、炭素税等環境税の導入については現段階では反対である。


                                                              以上



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